西島カーブ




2015.3.1 新規



 もう10数年前に前間孝則の「戦艦大和誕生」を読んでいた時、主人公であるところの西島亮二が呉工廠で工程管理を行うために生み出された「西島カーブ」なるものが出てきた。しかしこの工程管理手法についての説明は概略のみであり、また造船所勤めと言え設計部所属で、工作や工程管理についての知識が無かった為に理解することができなかった。またネットで調べても当時は何も引っかからず、詳細については判らず仕舞いだった。

 それから会社を転々とし、専門外でもある工作の工程管理にも首を突っ込み、としている内に、偶々、本業で戦時中の資料を調べていた際に、防衛省の戦史資料室内に「西島カーブ」に関する資料を見つけた。
 これは、佐世保船舶工業技法第22号に投稿された「造船の工数計画とその統制に関する研究」(戦史資料室請求番号:9その他-委託-181)という論文で、戦中に呉工廠で用いた手法をベースに、戦後の造船での経験や実績を入れ込んだもので、ほぼ、現在の工程管理の基礎に近い形になっている。
 この資料には本文の他にも膨大な量の図表やメモ書きも付いていたが、余りにも量が多く印刷費が莫大になるので、本文だけを印刷して読んでみたところ、本文中の図表だけでは足らず読めない部分が出てしまい困った。
 一応、学会誌への投稿であり、ネットにこの論文が上がっていないか検索をした所、この論文の1年後に西部造船学会誌に寄稿された、 「新造船の工数計画とその統制に関する研究」という論文を発見した。こちらはより簡潔にまとめられ、また不足している図表も載っていたため、この2本の論文から、「西島カーブ」とその後の工程管理手法について読み解き、私なりにまとめてみた。


 本業として工作に属しておらず、工作や工程管理に関する知識は資料や生産設計の担当者から伝え聞く話のみであり、正しく根っこを掴めていない危険性があったり、またCMMIにまで話が飛んでいたりするが、西島カーブを理解するには良い資料だと思い、ここに公開する。




西島式生産管理システム






 戻る