長尾鼻 特設見張所
2008.3.21 探索
2010.11.6 再訪

米軍の航空写真(R334-4、国土地理院)

鳥取県の長尾鼻灯台付近にあったかと思われる。灯台は昭和4年からあったらしいが、現在のものは昭和28年に建設しなおしたもののようであり、電探基礎があることからも現在の灯台施設付近が特設見張所だったようである。
灯台施設の門には鍵がかかっていたものの通用門には鍵が無かったので見学させてもらったのだが、立ち入り禁止かもしれないので注意。
また海上保安庁のHPに空中から撮影した長尾鼻灯台の写真があるので参考まで。



左:長尾鼻灯台、右:平坦地A、指揮所のあった場所か?


左:平坦地Aを北東から、右:灯台施設B


左:電探基礎C、右:同左中央部、8ヵ所のアンカーボルト用の穴


左:電探基礎Cの配線用の溝、右:基礎C、厚みもかなりある


左:基礎Cから平坦地Dを、右:平坦地D



左:灯台の南東下へ降りる道、右:同左の先、左奥に地下壕G


左:水槽E、右:同左


左:小屋F、右:動作


左:小屋F内部、右:平坦地E


左:平坦地Eにあるコンクリ片、右:水槽E


左:地下壕G、右:同左アップ


左:地下壕G内部、右:天井


左:ブレーカーは戦後のもの?、右:ポンプ台関連も戦後のものっぽい


左:南へ伸びる谷を、右:地下壕Gの南側くらいから西を


左:海軍標柱I、右:平坦地Hを北から

灯台施設Bの南には東西に長細い平坦地Aがある。恐らくは指揮所の建物が建っていたものと思われるが、現在は残っていない。
また灯台施設Bの北東には電探基礎Cがある。基礎は直径約6m、一辺230cmの正八角形をしており、高さは約30cmである。中央付近に直径約210cm、一辺約80cmの正八角形に穴が8ヵ所開いている。アンカーボルトを植える前の穴であり、また基礎の縁から中央に向けて、幅25cm長さ170cmの配線用の溝が掘られている。資料(「電波探信儀及電波探知機装備工事心得」アジア歴史資料センター:A03032172600)の付図の寸法から見るに2式1号1型電波探信儀(11号)の基礎のようであり、アンカーボルト未装備の状態であることを考えると工事が完成する前に終戦になったと思われる。
平坦地Aの北東下には平坦地Dが続くが、造成されている為に遺構らしきものは見当たらない。奥の木立の中にでも入れば探照灯の基礎くらいあったかもしれないが、他人との旅行の途中に立ち寄った為にそこまではできなかった。
広場Hの南端付近から、灯台の南東にある谷へと降りる階段が出ている。その階段の途中から藪をのぞくと、下にコンクリート製の水槽Eがある。大きさは小さめで、戦後のものである可能性もある。水槽のある平坦地の北端には小屋Fがあるが、屋根しか見ることが出来ず、当時のものかどうかは判別できない。
谷を東へ行くと、北側の斜面に地下壕Gがある。斜面を掘ったというよりもコンクリート建造物を埋めたという造りをしている。中を探索したかったが、前日に降った雨の為に辺りはぬかるんでおり、道から外れることは出来なかった。
道は海へと続くが、船着場のような施設は見当たらなかった。谷は南にも伸びているが、藪が酷くて施設があるかどうかは不明である。
広場Hから北へと降りる階段の途中に海軍の標柱がある。この標柱はM字の波マークでなく海軍と文字で書かれている。この標柱の境界方向から、広場Hの東側が敷地だったようである。
広場Hは釣り客用の駐車場になっている。米軍の航空写真を見ると写っていない事から、戦後に大々的に削り取って造られたようである。もしかしたらこの辺りに探照灯か聴音機の窪地があったかもしれないが、そうだとしたらもう永遠に確認はとれなさそうである。
広場Hからは東にも道が出ており、トイレや展望台へと続いているのだが、これといった遺構らしきものは見当たらなかった。
米軍の航空写真を見ると広場Hの南西下の谷にも広い平坦地が写っている。兵舎等の遺構がここに残っている可能性もある。
2010年11月6日 再訪:
小屋Fまで突っ込んでみる。小さく、内部には何も無かった(ごみの下は未確認)。
平坦地Eには幾つかコンクリ片が転がっていたが、建物の基礎かどうかはわからない。水槽Eの短辺の長さは約2.4m。
発電所Gの内部にも突っ込んだが、現在残っているポンプ台とパイプやバルブ、ブレーカー等は戦後のもののようだ。ただポンプ台の下のコンクリ基礎は、当時のものかもしれない。
米軍の接収記録によると、対空と対水上のそれぞれ1基づつの電探が装備されていた。対空電探の方は周波数が150MCなので波長2mであることから11号か13号と思われる。
対水上用電探の方は、昭和20年6月の一覧には登場していない。最終的な一覧表とか残ってないのだろうなぁ。
(WOR22757-21 G-2 Periodic Report No.31 1945.11.5、国会図書館)
長尾鼻(902-1398)の監視所に2基の完全なレーダー基地がある。どちらも武装解除されているが、修理無しで再稼動可能だ。150MCで150マイルの探知距離を持つ対空レーダーと、10マイルの探知距離を持つ対水上レーダーが配備されていた。またこの基地には12cm双眼鏡もあった。この双眼鏡は、70,000mの距離のB-29を認識可能だった。
日付 |
舞鶴海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事 |
昭和17年6月 |
工事中 |
昭和17年11月 |
特設見張所(戊)建設中 |
昭和18年7月 |
特設見張所(戊)建設中 |
昭和19年7月 |
工事中 |
昭和19年8月 |
探照灯、発電機、変圧器、配電盤の地下への移設工事 |
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