備中備後遠征 ~熊より怖いインバウンド~ その1
令和7年 2月22日~24日

神水城の鉄塔のボルト。簡単に外せないようにしてある
当初、冬季遠征は、Kさんから美作周辺を要望されていたのだが、今年は雪が多いということで断念。代替案として、岡山から福山にかけて、これまでに取りこぼしていた城を拾っていくこととして、集合は岡山、解散は福山の2泊3日という旅の概要が固まった。
遠征地が決定し、さあ宿を取るぞと、一泊目の宿泊予定地である倉敷周辺を大手旅行サイトで調べたのだが、1泊3万円以上の高額なホテル以外全滅という有様だった。インバウンドが始まってから、宿代が値上がりしたり、取りにくくなったことは実感していたのだが、一地方都市ですら素泊まりが1万円でも宿が取れないということは初めてだった。確かに倉敷は観光地なので、何かしらのイベントでも重なれば、取れないという事もわかる。しかし新倉敷から笠岡にかけてすら引っ掛からない。旅行サイトに載って無さそうな民宿とかビジネスホテルに片っ端から電話をするのも大変だったので、諦めて福山に2泊することにした。
しかし、福山ですらも連泊ができる宿は無く、リーズナブルな2ヶ所のホテルをどうにか押さえることができた。こうして、1日目に岡山での作戦行動後に福山に移動し、2日目は福山から鴨方まで戻り、また福山に移動、という何とも非効率な旅程となってしまった。
2025年2月22日(土)
午前5時半頃に出発。吉備SAで時間調整をしていたら、到着がギリギリになってしまった。
第一目標である冨山城に近いJR大安寺駅に集合ということにしていたのだけど、駅前に車を停めるスペースが無い上に、周囲の道路が細くて行き違いも難しく、更に一方通行も多かった為、集合時間から10分くらいモタモタして、ようやく岡山に前泊していたKさんと合流する。Yさんは東京からなので、後ほど児島駅で合流の予定である。

1日目前半の行程(国土地理院の地図を基に作成)
冨山城


左:上水施設に入って直ぐ左に登り口がある、右:南西の郭


左:南西の郭を北東から、右:山頂の郭を南下から


左:山頂の郭、右:同左


左:北の郭の南縁の石垣跡、右:同左の続き


左:北の郭、右:北端、採石で削られている


左:北の郭の北縁の石垣、右:同左を逆側から
冨山城のある矢坂山は傾斜が緩やかで、整備された遊歩道が縦横に走っている。山頂の郭は不明瞭で、城っぽい遺構を残しているのは北側の郭周辺だけなのだけど、採石で削られて山崩しゲームの終盤戦のような状態になっている。辛うじて残っている石垣跡が良い。
西辛川城


左:左にある階段を登った方が楽、右:北東の堀切


左:郭内部、あまり平坦ではない、右:南の堀切


左:北西の堀切、右:北西の土塁


左:郭の西側の縁、右:南側だったけ、の土塁?
なだらかな丘の上に造りが甘い遺構が残っている。山頂の郭も明確な平坦地は無く、緩斜面である。陣城なのだろうか?

1日目後半の行程(国土地理院の地図を基に作成)
本太城
車で寄せられる場所までは行ったものの、時間が微妙になり中止に。
十数年前に海軍の倉敷航空隊の聴音照射所を探索しに行ったことがあるが、戦中は軍事施設、戦後には畑と、二度も手入れを喰らっているので、現在残っている平坦地も石垣も、いつの時代の物かわからない。
Yさんとの合流場所である児島駅の近くにあるラーメン屋で昼食。有名店なのか、ラーメン1杯で1000円近くも取られたが、美味しかった。
児島駅でYさんと無事に合流する。
下津井城


左:西出丸を北西から、右:西出丸から東にある二の丸を望む


左:二の丸の東側の石垣、右:同左


左:大手近くの崩された石垣、右:本丸


左:本丸から三の丸にかけての南下の石垣、右:同左


左:三の丸から本丸方向を、右:東出丸
森林総研・森林土壌デジタルマップより
破城や石の抜取りが痛々しいが、遺構は比較的良く残っており、また眺めも良く、アクセスも難しくない。しかし何かしら見ごたえが無い城だった。石垣が良く見えるように木を切れば良いなるのだろうけど、そうすると維持管理が難しくなる。現状はギリギリの妥協のラインなのだろう。
神水城


左:西端の断崖を西下から、右:断崖の上、主郭の西縁の土塁


左:主郭の西端、右:主郭北縁の土塁


左:主郭の東端から西を、右:主郭の東下の郭


左:主郭の東下の郭の土塁?、右:更にその東下の郭
森林総研・森林土壌デジタルマップより
鷲羽山スカイラインの途中に展望台のような場所があり、その駐車場に車を停めた。そこから山の入り口まで、歩道もガードレールも無いスカイライン脇を歩くのだが、スピードを出す車が多いので注意が必要。
堀切等の防御施設は見当たらない。主郭の西端に凹型の断崖があるが、こうした構造は珍しい。
黒山城


左:南中央の竪堀、右:同左は上で曲がって横堀に


左:主郭内部、右:主郭南縁東側の土塁


左:南東部の土塁、右:北東部の土塁


左:主郭北縁の土塁、右:主郭東下の横堀


左:主郭南縁西側の土塁、右:主郭南縁中央部の虎口


右:
森林総研・森林土壌デジタルマップより
駐車スペースは車1台が辛うじて停められるだけであり、運転に自信が無い場合には他の場所に置いて歩いた方が良い。ただ山の周囲は道が狭く、コインパーキングも最短で東に1kmと、状況は良くない。
緩やかな丘の上に、凹凸のハッキリした土塁の縄張がある。荒れつつあるものの、何とか見て回れる。
これにて1日目の予定が終了し、ホテルの有る福山に向かう筈だったのだが、Kさんが前泊したホテルに忘れ物をしたことが判明し、急遽岡山駅前まで戻ることに。そんなこんなで18時半にようやく福山のホテルに到着する。
この福山駅北のホテル、サービスをしようという気があまり無い。周辺の居酒屋マップも無いし、周辺のコインパーキングの情報も無い。部屋のLANケーブルも断線しているのか使えない。ただ比較的安かったので、その辺は割り切ってしまっているのだろう。実際、これまでのようなサービスをしていて1泊素泊まり7000円前後という料金だと、とてもやっていられない。
飲みに出る。
週末ではあるし、本当はどこかの店に予約を入れておきたかったのだけど、ドタバタしていてそれどころではなかった。仕方なく福山駅周辺の飲み屋を片っ端から回るのだけど、どこも人で溢れていて入れない。こんな地方都市ですらこの有様。恐るべしインバウンド。
ようやく見つけたお洒落系お好み焼き屋に入る。3名で17000円。忘れ物の件もあり、Kさんがおごって下さった。
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